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小を捨てて大につく
miu بازدید : 113 یکشنبه 01 دی 1392 نظرات (0)

丁度、自動車が松坂屋の前にさしかゝつた時、信一郎は、やつと――と言つても、たゞ一分間ばかり黙つてゐたのに過ぎないが――会話の緒を見付けた。 「先刻、一寸立ち聴きした訳ですが、大変仏蘭西語が、お上手でいらつしやいますね。」 「まあ! お恥かしい。聴いていらしつたの。動詞なんか滅茶苦茶なのですよ。単語を並べる丈。でもあのアンナと云ふ方、大変感じのいゝ方よ。大抵お話が通ずるのですよ。」 「何うして滅茶苦茶なものですか。大変感心しました。」  信一郎は心でもさう思つた。 「まあ! お賞めに与つて有難いわ。でも、本当にお恥かしいのですよ。ほんの二年ばかり、お稽古した丈なのですよ。貴君は仏法の出身でいらつしやいますか。」 「さうです。高等学校時代から、六七年もやつてゐるのですが、それで会話と来たら、丸切り駄目なのです。よく、会社へ仏蘭西人が来ると、私丈が仏蘭西語が出来ると云ふので、応接を命ぜられるのですが、その度毎に、閉口するのです。奥さんなんか、このまゝ直ぐ外交官夫人として、巴里辺の社交界へ送り出しても、立派なものだと思ひます。」  信一郎は、つい心からさうした讃辞を呈してしまつた。 「外交官の夫人! ほゝゝ、妾などに。」 キャバクラ求人・アルバイト・体験入店の求人情報が満載!『キャバクラアルバイトリンク』

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