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小を捨てて大につく
miu بازدید : 18 یکشنبه 14 اردیبهشت 1393 نظرات (0)

向うで、百姓が、私の鉄砲の音を聞きつけて、頭を上げる。そして、私の方を見る。  つまり私たちの審判者なのだ、この働いている男は……。彼は私に話をするつもりなのだ。そして、厳かな声で、私を恥じ入らせるだろう。  ところが、そうでない。それは、時としては、私のように猟ができないのが癪で、業を煮やしている百姓である。時としては、私のやることを面白がって見ているばかりでなく、鷓鴣がどっちへ行ったかを教えてくれるお人好しの百姓である。  決して、それが義憤に燃えた自然の代弁者であったためしはない。  私は、今朝、五時間も歩き回った揚句、空の獲物嚢を提げ、頭をうなだれ、重い鉄砲を担いで帰って来た。暴風雨の来そうな暑さである。私の犬は、疲れ切って、小走りに私の前を歩きながら、ずっと生垣に沿って行く。そして、何度となく、木蔭に坐って、私の追いつくのを待っている。  すると、ちょうど、私がすがすがしい苜蓿の中を通っていると、突然、彼はぱっと立ち止った。というよりは、腹這いになった。それが実に一生懸命な止り方で、植物のように動かない。ただ、尻尾の先だけが震えている。てっきり、彼の鼻先に、鷓鴣が何羽かいるのだ。すぐそこに、互いにからだをすりつけて、風と陽とをよけているのだ。彼らの方ではちゃんと犬の姿が見えている。私の姿も見えている。多分、私の顔に見覚えがあるかも知れない。で、すっかり怯えきって、飛び立とうともしないのだ。  ぐったりしていた気持が急に引き緊って、私は身構える。そしてじっと待つ。  犬も私も、決してこっちから先には動かない。  と、遽かに、前後して、鷓鴣は飛び出す。どこまでも寄り添って、ひとかたまりになっている。私はそのかたまりのなかへ、拳骨で殴るように、弾丸を撃ち込む。そのうちの一羽が、見事に弾丸を食って、宙に舞う。犬が跳びつく。そして血だらけの襤褸みたいな、半分になった鷓鴣を持って来る。拳骨が、残りの半分をふっ飛ばしてしまったのである。  さあ、行こう。これでもう空手で帰らないでも済む。犬が雀躍する。私も得々としてからだをゆすぶる。  全く、この尻っぺたに、一発、弾丸を撃ち込んでやってもいい。 作業服

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